7時間目「Fallaces sunt rerum species

タイトル邦訳:事物の外観は偽りに満ちている
絵コンテ えんどうてつや 作画監督 本橋秀之
演出 えんどうてつや 脚本 大河内一楼
キャスト
ネギ・スプリングフィールド 佐藤利奈 神楽坂明日菜 神田朱未
絡繰茶々丸 渡辺明乃 長瀬 楓 白石涼子
エヴァンジェリン 松岡由貴 高畑・T・タカミチ 井上倫宏
カモミール・アルベール 矢部雅史 女の子 猪口有佳
男の子 小林ゆう 男の子 志村由美
植倉 大


あらすじ

 出席番号20番・長瀬楓は修行中、突然の来訪者であるネギの落ち込んだ様子を案じ、元気を取り戻してもらおうと画策する。

 1日を共に過ごすことによって、ネギは次第に自信を取り戻し、翌日には彼自身の力で、彼女の許を飛び発って行くのだった。

 一方で、ネギに取り残されてしまったアスナは、どうすればネギがエヴァンジェリンに勝つことができるのかとカモに相談したところ、ネギとの仮契約が必要であるとアドバイスされたため、彼との再会後間もなく、半ば強制的に仮契約を成立させてしまう。

 仮契約の力を携えて吸血鬼の従者・茶々丸の撃破を目論むネギであったが、土壇場で彼女が敵である以前に自分の教え子であったことを再認識したために、当初の目的を達成することはできなかった。


評価

 ★★★☆


感想

ねぎくん、かわいい。

 カモ君は原作通りどんどん変な生物になってきてます(笑)
今回は何よりも、絵、声の面で特に、ネギの可愛さが際立っておりました。
あ、猫も可愛かったですけど。
内容は、Aパートで楓のクラスメート編、Bパートでは茶々丸のクラスメート編となっており、クラスメート編ファン垂涎の一本と言えますが、原作一話分をアニメの半話分に変換したことで、ちょっと話が窮屈に感じてしまったのも一つの印象。
確かに、原作の2話分をアニメの1話で纏めるのは定石なのですが……
オリジナルの要素がほとんど無いというのも、寂しいものです。
放送開始前は「原作に忠実にやってほしい」などと言ってたくせに、いざそうならそうでこの文句。
なんと救い難い視聴者なのでしょう、自分。

 こんなしょうもない愚痴が衝いて出るのも、未だに心配され続けている作画とか、話の持って行き方とか、そういった基本的なチェック事項が及第点以上の出来だからなのです。
アニメとしての出来は悪くない、むしろ良いくらい。
見方によっては、隅から隅までボリューム満点で、今回は最高に面白かった!という人もいるのではないかと思います。
個々の話の面白さにかかわらず、”面白い作品になりそうな予感”を継続して持たせてくれている現状に、感謝しています。
今回の微妙な評価は、主にツッコみ甲斐の無さに起因するものなので適当に流しておくとして、その裏返しに発生する無難な手堅さは、プラス評価に値すると言えるでしょう。

 それにしても、ホントにツッコみどころがないなぁ(^^;)


Aパート

アスナとカモとエヴァと茶々丸

 まず、いなくなったネギを心配するアスナがいじらしいです。
アニメでは、アスナのネギを気にかけている様子が原作よりも強調されているのは、ある種のポリシーが感じられて好印象。
但し、彼女がネギを気にかけるようになる過程が充分に描かれているのかどうかがやや疑問。
 次に、カモのビビりっぷりが素敵です。
過剰に反応することで、小者っぽさが引き立てられるというものです。
声の方は、小慣れてきたのはいいのだけれど、微妙にずれてきている気がしないでもない。
 そして、エヴァのアップが非常に丁寧。
前回の雪辱といった感じ。
 最後に、茶々丸は無口。
・・・ごめんなさい、オチで使ってみたかっただけです。


楓とネギとイワナとニンニン♪

 前回のラスト、山中での楓との遭遇から一晩が明け、省ける部分は省いて事情を説明するネギ。
ネギが何かを話せないでいることを見抜きながら、敢えて深入りしない楓。
直接かかわろうとするのではなく、成長を見守っていこうという態度が、彼女のスタンスです。
お父さんって感じ。
彼女は、修行の一環でイワナ獲りを提案。
手裏剣(くない)の扱いは初めてのネギ、当然上手く扱えません。
しかし楓は手馴れたもの。
飄々と獲物を捕らえるその手際は鮮やか。
前回の予告にもあった、枚数の少ないアニメーション(繰り返し)でのイワナ獲りの場面が、個人的にツボ。


16分身フリーズ

 山菜を効率よく採るには16人に分身するべしと説く楓。
イヤ、無理(笑)
残念なのは、喋っている楓以外の15人が全く動いていないこと。
仮に全員が動いてたらものすごい映像なんですけど(^^;)
流石にそんな無茶な注文をする気は・・・


カモ打

 超高速でキーボードを叩くカモ君。
学園外へと出て行ったネギがどこかで迷子になっていないかを検索していたらしい。
原作ではエヴァの素性をまほネットで検索していたのだけれども、アニメの流れ上はコレで正しいと思われる。
 また同時に、アスナがエヴァたちに勝てる方法をカモに尋ねるエピソードが挿入。
ネギ抜きで仮契約の計画を進めるという流れは、原作で言えば後のエヴァ戦(本チャン)の構図をなぞっているため、意外と抵抗なく見られた。
ともかく、アスナがネギの助けになりたいという意思は、ひしひしと感じることができる。
Bパートへの、伏線である。


修行、メシ、修行

 午前中に採ったイワナを焼いて食す楓とネギ。
ネギは、とても頼もしい楓を前にして、パートナーになってくれたら・・・と思うものの、その考えをすぐに打ち消す。
なぜならそれは、生徒である楓をただの「戦いの道具」と見なして、頼ろうとしているということに他ならないからだ。
こんな考えを一瞬でも浮かべてしまったネギは、激しく後悔する。
 そんなネギのことを知ってか知らずか、楓は彼を、再び修行に誘う。
有無を言わさずぐいぐいとネギを引っ張っていく彼女の姿は、やっぱり格好いい。


可能?不可能?岩登り

 午後の修行は、キノコを採るために岩を登ってみたり、蜂の巣(?)を持ってクマから逃げてみたり、手づかみで魚を獲ってみたり。
岩登りはいいんですけど、くないで岩って突き刺せるものなのでしょうか?(^^;)
確かにくないには、壁を壊したりするなどの用途もあるにはあるのですけど。
うーん、気になる。
 それと、魚を捕まえるシーンでのネギの表情はものすごくかわいいです。
純粋にアウトドアを楽しんで、生き生きとしているのがわかります。


ドラム缶風呂

 ネギ、風呂嫌いなのに、なんだかんだで風呂に入る頻度が多いです(笑)
髪を洗う必要の無いドラム缶風呂(五右衛門風呂とも言う)は、ネギも気に入った様子。
ここで楓は、担任のネギに元気がなかったことを心配していたと告白。
そしてその言葉によってネギは、自分が2−Aの担任教師であることを再認識し、気持ちを新たにするきっかけを掴むことができました。
 (数えで・・・とフォローしてみる)14歳なのに、落ち着いていて、頼りがいのある楓を心から尊敬するネギ。
まだ立ち直りきれていないネギに対して楓は、10歳のネギが先生をしているのも充分頑張っていると言うのだが、ネギはそんなことでは納得しない。
「今日だって 逃げ出してきちゃったくらいだし」
・・・逃げ出したのは昨日だけどね。


ネギが得たもの

 「まだ10歳なのだから、間違ったり、失敗したりして逃げ出してしまう時もあるだろうけど、そんな時はいつでも受け止めてあげる(意訳)」という楓の包容力というか懐の広さによって、翌朝にはすっかり立ち直ることができたネギ。
自信を取り戻し、楓の許から飛び立って行きます。
 楓との修行でネギが得たものは、2−Aの教師としての責任感と、それを全うしうるための精神的な安定感。
直後のBパートでは、「生徒を守らなければ」という考え方に、直接繋がっていきます。
 さりげなく楓には、彼が魔法使いであることがバレたりもしましたが、それほど心配することではありません。
なぜなら、彼女はパートナーではないにしても、強力な味方であることは間違いないのですから。


Bパート

アスナの決心、ネギの決心

 アスナはネギとの仮契約を、ネギは逃げずにきちんと立ち向かうことを決心して、再び出会います。
どこに行っていたのかと責めるアスナではありましたが、言葉の端々に、いかにネギを心配していたかという感情がにじみ出ています。
どうにもアスナにはフライング気味の感情のような気がしてならないのですが、アニメでのアスナはこの時点で、ネギに対してそういう接し方をしている、と見なすことにしましょう。
それはそれで可愛いですし。


仮契約、成立

 凛々しく決まったネギの決意表明を聞いているのか聞いていないのか、いそいそと魔法陣を描き始めるカモ。
それは、仮契約の魔法陣でした。
突然の展開に戸惑うネギに、アスナは一応の説明をしますが、つまるところ彼女の考えは一つ、ネギの助けになりたい、ということだと思う。
 例の如く、桃色の(ヒワイな(笑))光が満ちて、アスナのくちびるが触れた先は・・・ネギのデコ。
ともかく、契約成立です。


茶々丸、いい人

 エヴァと茶々丸を各個撃破すべく、茶々丸の尾行を開始するネギとアスナでしたが、道行く困った人々を助ける茶々丸の姿はまさに、「いい人」そのもの。
今までアスナやネギが彼女をロボだと認識できていなかったというのはまぁギャグとして、徹底的に不審の念を抱き続けた上に、啖呵まで切ってしまったカモ君の漢気には乾杯です。
それと、カワイイですよね……ネコ。


ネギvs茶々丸

 このバトルにはいくつか注文があります。
まずは、契約執行時のアスナの反応ですが、見開いた彼女のツリ目は、何か違う気がします。
能力が飛躍的に増大した、言わば、覚醒したともいうべき変化を演出するためのものだというのは何となくわかるのですが、もう少し契約の光の”キモチよさ”を織り交ぜてくれた方が、それっぽく見えます。
・・・というのが、私の脳内にあったイメージです(自分勝手)
 もう一つが、茶々丸がアスナの足を払ったシーンがわかりにくかったこと。
ただアスナが転んだだけのように見えてしまったのが残念。
 良かった点は、魔法の射手のグラフィック(?)と、この魔法の射手をネギが戻そうとする前の心の声「僕の生徒は、宮崎さんやまき絵さんだけじゃない、茶々丸さんだって・・・」というところ。
一度戦いを始めてしまったにもかかわらず、”生徒を守る”という考えを忠実に実行したネギは、立派だと思います。
 茶々丸が退却後に呟く「ネギ先生…ネギ・スプリングフィールド……」は、教師としてのネギと、主人の敵としてのネギの像の間のズレに困惑している茶々丸の様子が一言で描写されていて、割と好きです。


次回予告

 いや、ケンカ嫌いの亜子が乱闘を推奨するようなセリフを口にするのはどうかと思うのですけども(^^;)
ひょっとしてそれはギャグでやってるのか?
裕奈の「ほっとけー!」は全体を通して非常に微妙なのですが、彼女の声を聞いていると、だんだんクセになってくるのが不思議(笑)

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