12時間目「eGirl Life☆」



あらすじ

 2−Aの不思議なテンションについていけない帰宅部少女、千雨。

そんな彼女のストレスのはけ口が、ネットアイドル「ちう」という裏の顔。

その正体がネギにばれてしまうわ、おまけにクラスメートにもばれてしまうわで、彼女にとっては、悲惨な終了式の一日になってしまいましたとさ。


評価

★★★★★



詳察

 いつもはだらだらと展開を書いていってますが、今回は予定を変更してお伝えします。
一言で言えば、めちゃくちゃ面白かったです。
6つ星、あげちゃだめですか?と言いたくなるぐらい、面白かったです。

 長谷川千雨というキャラクターの持っていた意外性。
これに尽きます。
設定としては、多少逸脱してはいますが、そんなに突飛なものではありません。
ただただ、意外でした。
ひょっとするとこれは、ここまで連載が続いてきた過程で、(自分で言うのもなんだけど)かなりこの作品を読み込んできた自分のイメージが先行しすぎていたということがあるかもしれません。
だから、7時間目で、彼女の学業成績が意外と高くなかったのを見て、最初にちょっとした違和感を感じたのです。

 そして、今回の扉ページを見て、今までの彼女に対して感じていた違和感が、全て解決したのです。
正直に言えば、このキャラクター、ズバリツボです。
だからと言って、彼女のファンになったというわけではありません。
自称オタクな私にとって、彼女はそういうキャラクターを確立したのです。

 話の内容は、作者である赤松先生の専門分野(コンピュータ関係)のものだったので、そのテンションは、異常と言えるほど高いものになっています。
これが、今回の話を面白くしている2つ目のポイントです。
何もここまでやること・・・と、思わず読んでいる時につっこんでしまいました。
そして、読み終わった後には、話の内容を反芻するたびに笑い(と言うよりニヤケ←最悪)をこらえるのに必死になるという、最高に面白い漫画の条件にふさわしいものになっていたのです。
長谷川千雨、恐るべしです。

 さて、そろそろいつもの様子に戻りましょう。
期末テストも終わり、終了式当日、遅刻しそうなわけでもないのに何となくいつもの調子で走って学校へ通うネギ、アスナ、このかの3人。
続いて、クーフェ、まき絵、桜子が合流。
そんな彼女達の様子を冷めた眼で見る千雨が、そこにいました。

 終了式で、ネギが正式な先生になり、3−Aの担任になることが、初めて公式に発表されて、驚く千雨。
全然関係ないけど、麻帆良学園中等部、巨大な学校の割には、ステージがしょぼいです(笑)。

 さあ、問題の扉ページ。
陰険な表情(笑)で、パソコンをいじる千雨と、その隣でポーズをとる、ネットアイドルのChiu(ちう)。
Chiuとは、千雨の裏の世界(インターネット)の顔のことです。
つまり、千雨がネットアイドルだったと言う事実が、ここで初めて明らかになったのです。
備考の欄に書いてある、視力1.2と言う事実は、彼女のメガネが、伊達メガネであることを如実に示しています。
現実世界で、ひたすら地味に振舞うという、一般人には不可解な彼女の態度には、彼女の屈折した性格を窺うことができます。
一般人には不可解と書きましたが、私には、ちっとも不可解ではありません。
全く自慢になりませんが(笑)。

 彼女の嫌いなものは、予想のつかない事象、だそうです。
先に、ネギが正式な先生になったことに対して、千雨が驚いていましたが、これは、予想のつかない事象ではないでしょうに。
彼女、いろいろ考えているように見えて、案外浅はかです。

 終了式が終わり、改めてクラスで歓迎されるネギ。
期末テストトップの証であるトロフィーも無事に教室に届き、トロフィーを得られたのもネギのおかげ、というような雰囲気がクラスを満たします。
この、クラスの雰囲気にも全く乗り切れない千雨。
ネギの年齢に関する疑問を普通に感じてしまう、ちょっと常識人(ぶってる)な千雨。
なんだか脈絡のない鳴滝(姉)の「学年トップおめでとうパーティ」の提案に派手にずっこけて、プルプル震えだす千雨。
妙なテンションの2−Aも変といえばすごく変ですが、一方の千雨も、なんかヤバい感じです(笑)。
そしてこの予感は、嬉しいぐらいに的中します。

 中学に入学してからの(異常な)日々を思い出す千雨。
たくさんの留学生、妙にでかいのやら、小さいのやら、そして、ロボ・・・
極め付けには、あのネギ。
茶々丸にどうして誰も突っ込まないんだという、千雨の素朴な疑問を投げかけているシーンは、同じくマガジンで連載中の、「魁!クロマティ学園」に出てくる、メカ沢を思い出して、笑ってしまいました。

 仮病を使って早退した千雨の、駅から寮へと続く道。
どこかで見たなぁ、と思ったら、私が受験して見事に散った、某都立大学への、駅から続く道ではありませんか。
そして寮は、某大学の形を忠実に再現しています。
たったの3ヶ月前のことなのに、遠い昔のことのように思えます。
ハイ、関係ないですね(笑)。

 早退した千雨に、魔法の力を使って追いつくネギ。
あからさまに怪しい超効く腹痛薬を千雨に勧めるが、当然千雨は拒む。
鳴滝姉妹が提案したパーティにも、「変人の集団とはなじめない」と言って、かたくなに拒む千雨。
自分達が変人の集団であると言うことを自覚していないネギを尻目に、千雨の体は、我慢がきかなくなってくる。
ネギを放って置いて、一目散に自分の部屋に駆け込んだ千雨は、自らを解放するのです。

 その結果が、
「今日もちうは綺麗だぴょーん♪」
と、いうわけです(爆笑)。
いかん・・・笑いが止まらない。


−−−10分経過−−−

 ふ〜(^^ゞ

 自らネットアイドル「ちう」を名乗り、ちうになりきって、ちうを演じる千雨。
すさまじいタイプスピード、さすが裏社会を牛耳ろうとする女です。
自らの不満をチャットに書き込み、ファンに慰めてもらって、陰険に笑う千雨。
この顔に私はノックダウンされたでありますっ(笑)!!
い、いかん・・・また笑いが・・・


−−−7分経過−−−

 わ、笑い疲れた・・・(-_-;)

 この、ちうのホームページ。
アドレスが明記されているので、まさか本当に存在していたらすごいなぁ、と思って、調べてみましたが、さすがにありませんでした。
週刊連載だしね、あったらすごいと思いこそすれ、無かったからといって、なんてことはありません。
でも、トップページだけでも作ってくれたら、赤松先生に一生ついていきます、私は(何)。

 チャットでネギは、変態扱いされています。
変人ではありますが、変態というのは、千雨の脚色が入っています。
しかも色目を使ったという濡れ衣。
まあ、しつこくついてくるのは・・・色目・・・か?

 それはさておき、ちう萌えの人たちに(予定通り)慰めてもらって、大げさに涙まで浮かべちゃった千雨ことちうは、自らコスプレをして、デジカメで自己撮影したものを、さらにフォトショップ(写真加工ソフト)で修正して、ホームページにアップします。
自分の人気が上がっていくのを見て、自分は愛されていると認識し、自己満足をして、日頃のストレス(理不尽)を晴らす、と言うわけです。
このとき、千雨は完全に他人を見下しています。
普通の学生生活を営みたいという希望とは裏腹の、千雨の倒錯した欲望ほど理不尽なものはなかなかないわけで、彼女の、理不尽を理不尽で包み隠そうとするその姿勢と徹底ぶりは、あきれるのを通り越して、尊敬の念すら抱いてしまいます。
それで(私の)笑いは止まらない・・・というわけです。

 何はともあれ、彼女のアイデンティティ(自分に見出している意味)は、
「普段は目立たぬ女子中学生!だがその裏の素顔は、インターネット界を牛耳るスーパーハッカーにして、No.1ネットアイドル!!」であるわけです。
そんな彼女だから、自分は女王であり、将来はNET界のNo.1カリスマになり、全ての男達が自分の前にひざまずくのだ、とか考えちゃうわけです。
これは強烈なキャラクターです。
1時間目から積み上げられてきた彼女のイメージなど、氷山の一角どころか、水の一滴にもなりはしなかったのですから。

 そんな自己満足をしていた千雨は、ネギが部屋に入り込んでいることに全く気がつきませんでした。
って言うか、ドアが開いてるからって、勝手に部屋に入るなよ、ネギ(笑)。
変態というのも、あながち嘘ではないかもしれません。
ネギがいるのに気付いた時の、どこからとも知れない血を吐く千雨が、限りなく笑えます。
慌てた千雨は、バニーコスプレの付属品の巨大ニンジンを凶器に、ネギを抹消しようと本気で考えますが、ネギが、千雨のメガネをはずして彼女にかけた、「キレイ」と言う率直な言葉は、恥ずかしさのあまりに、彼女を我に返らせます。

 千雨をパーティに連れて行こうとして、メガネを持って外に出るネギ。
追いかける千雨。
晴天の下に、ネギは千雨を連れ出すことに成功したのです。
何せ千雨は、引きこもりをやっていないのが不思議なくらい、引きこもりタイプなので、この表現も、おかしいものではないと思います。

 コスプレ(バニー)姿のまま、パーティ会場に連れ出される千雨。
クラスメートの好奇の目(千雨だとは気付かない)に耐えられずに混乱してしまい、コスプレをしているにもかかわらず、メガネをネギから奪い取って、そのままかけてしまう千雨。
完全に面が割れてしまった千雨を、更なる悲劇が襲う。
ネギのくしゃみによって、バニーの衣装は花びらと一緒に散ってしまったのです。
すっかり正体がばれた千雨ですが、本人はシラを切り続けます。
ネギによって不幸になってしまった人物がまた一人・・・


 笑い疲れました。
クラスメート編の第1回、期待していたよりも、はるかに面白いものだったことが、すごく嬉しいです。
やっぱり本領発揮しだしましたね。
次回も楽しみにしていて問題ないでしょう。
どえらい長文になってしまいました、いつものことですが。

11時間目  13時間目  全話レビュー  トップページ

inserted by FC2 system