124時間目「恋の魔法のステキな効力」


あらすじ

 絶望に打ちひしがれた噴水前で想い人と出会ってしまった亜子はしかし、間もなく気を失い、気がつくと半日前に時間が巻き戻っていた。

 夢か現か幻か……戸惑う亜子などお構いなしに、ネギは亜子をエスコートして、素敵なデートに連れ出す。

 ひょんなことから出場することになったベストカップルコンテストの中で、亜子が負った心の傷は癒され、また、ナギへの想いは深まっていくのであった。

 そして、脇役体質の呪縛からも抜け出し、成長したお姫様は、最初の一歩を踏み出す勇気を出して、王子様への告白を試みるが……。


評価

 ★★★★


感想

 回の感想で次回亜子編完結とか書いたのに、今回はちょうど良いところでぶつ切りになって、次回に続いてしました。
しかも来週は休載です。
赤松先生の日記を併せて読んでもらえるとわかるのですが、当初3話完結予定だったのが、結局入りきらないで4話構成(まだ伸びる?)になってしまったのですね。
何気に今回は通常よりも2ページ少ない16ページでしたが、内容の厚さとしては、妥当なところだったのではないでしょうか。
亜子の精神面でのダメージを克服するための場所として、ベストカップルコンテスト(ある程度の尺の長さを確保できるイベント)が用意されたことが、そう感じた理由なのですが、そうなったらなったで、あと1話、どうやって間を持たせる(?)のだろうかと、気になってくるのでした。
もう赤松先生のキャリアも長いので、心配は全くしてないのですけれども。

 回の時点での今回の課題は、戻った時間を利用して亜子のメンタルな部分をどうやって回復させていくかでした。
実際に採られた方法は、直前の苦い記憶ごと悪夢の側に押し付けて、現実世界では彼女は何ら心の傷を負っていないことを”演出”することでした。
悪く言ってしまえば根本の解決になっていないし、円は亜子の背中の傷がネギたちに見られたことをしっかり覚えているわけですから(しかも口裏あわせは難しいはず)、かなり力技であるともいえます。
しかし、今は時間が限られている学園祭。
じっくりとこの問題と向き合うのはあとから出来ても、学園祭を楽しむのは今しか出来ません。
そういった意味では、この選択は誤りではないと感じました。
個人的には、彼女のトラウマの根本の解明を経て、背中の傷に象徴されている後ろ向きの性格ごと克服する方法を想定していたのですが、それをするには、まだ機が熟していなかったようです。
ちょっと考えたら、今のような安定した連載中において、1シリーズでキャラクターの全てをさらけ出すことは、あまり得策でないと気づきそうなものですが……楽しみ(?)は、後にとっておくのが良いですよね。
そもそも、キャラクターがよく動くことこそが、ネギま!の良いところだということを忘れてしまうと、内面の問題を解決するために、内面の葛藤を描くようになってしまうことでしょう。
これではこの作品本来の面白さを引き出すことはできないのだということを、読む側も肝に銘じておかなければなりません。

 回のような力技を成功させるには上にも書いたように、背中の傷を見られた事実を、夢だったのだと認識させるような、徹底的な演出が必要でした。
幸いネギは魔法使いなので、演出の材料には事欠きませんでしたが、真に必要だったのが、王子様役であるネギ15歳自身を演出することだったのは、言うまでもないことです。
作中の千雨のフレーズを借りれば、ネギは完璧紳士であることを求められていたのです。
前回の彼の失態を見る限りで、それを期待することは難しいと誰もが感じていたでしょうが、今回の彼は、その役をしっかりと果たしていました。
あまりの変貌ぶりに驚いたのは、千雨やコタローだけでなく、読者も一緒だと思います。
なぜ、そんなに変わることができたのか。
キーワードは、「先生」です。
前回、英国紳士を意識して行動したネギは、てんでダメでした。
それは彼がまだ、観念としてしか英国紳士を知らず、経験が足りなかったために、英国紳士として本物になっていない証拠でした。
しかし、15ページの2コマ目、「ちょっとは先生らしいことできたかな」というネギの思いから読み取るに、今回の彼は、いち生徒を思う先生として、行動していました。
たとえ中身が10歳でも、彼は先生として濃密な4ヶ月間を経験しています。
その経験を自覚することが、今回のネギの完璧紳士な立ち振る舞いを自然に可能にしたのでしょう。
彼はまだ、己の先生の部分を自覚して振舞うことが、何よりも本人が目指す英国紳士に近付く術だと気付いてはいないのでしょうが……。
やや演出過剰なのは、性格というか素質でしょうね(笑)
ちょっと強引かもしれませんが、これで前回と今回の行動のギャップについて解釈できた気がします。

 り直しで象徴的だったのが、ベストカップルコンテスト中の水着審査を前にして、亜子の背中の傷が露になりかけたその時、ネギが機転をきかせてタキシードの上着を被せた場面でした。
これは、前回偶然傷を見てしまった経験を踏まえなければできないことですし、それでいて、前回の失態を帳消しにするに値する行為でした。
カシオペアの特性で、全く同じ場面をやり直すことは非常に困難ですが、この場面で、それを擬似的に行ったといっても過言ではないでしょう。
ただ、本来ならネギは彼女の背中の傷について、知らない筈でなければならないのですけれどもね(笑)
それに亜子は気付いているのか、はたまた、服がはだけた一瞬で全てを察知したネギが完璧紳士な存在なのだと判断したのかどうかは、亜子の胸のうちに聞いてみるしかありません。
が、そもそもが、この行為によって彼女の背中の傷は(彼女の中では)癒されたといえるでしょうから、今のツッコミは、些細で野暮なものなのかもしれません。
露出度は高くないとはいえ、水着を着た亜子がネギよりも前に出ることができたということが、何よりも彼女のメンタル面が回復したこと、脇役体質から脱却したことの証拠だと思います。

 ストで亜子は、あまりにもできすぎな展開に対する夢か現か幻かという”迷い”を振り払い、勇気を出してナギ(の姿をしたネギ)に告白を試みます。
彼女は脇役を自覚していた自分、エスコートされるばかりのお姫様だった自分から一歩踏み出して、主役になるべく、主体的な行動を起こそうとしているのです。
これは間違いなく、彼女の成長だと言えるでしょう。
告白の直前で今回は終わってしまいましたが、果たしてちゃんと言えるのか、また、ネギはそれにどう応えるのか……。

 ころで、ベストカップルコンテストはツッコミどころが満載で面白かったです。
まず、ここで雪ちゃんとはる樹君が出てくるとは思いませんでした。
あんな1年も前に出てきた一発キャラ、相当コアなファンしか覚えてないと思います(笑)
ファンの地道な再登場嘆願活動が実ったのでしょう(何)
それに、英子と直哉君まで出てきましたが、直哉君は前日に真名に学祭中動けなくなるほどの麻酔弾を撃ち込まれてたはずなのに、今日は元気にコンテストに出場していました。
あ、ここは笑いどころです、多分。
麻帆良学園は不思議な場所なので、回復の手段はいくらでもあったでしょうしね。
直哉の奴、上手くやりやがって……。

 、結局優勝は雪ちゃんはる樹君が持っていくという真理。
赤松先生、よくわかってるなぁ。
8割の読者は、置いてけぼりでしょうけれども。
それと、賞品としてネギと亜子が貰ったペアブレスレットって、熱いアイテムだと思うのですよ。
亜子の告白が成功するにせよ、しないにせよ、最終的には二人の別離が待っていて、それでいてブレスレットは形に残る思い出だから、彼女はいつかの再会を待って今後必ず装着している(一方のネギは、正体がバレるから装着できない)ことが、自分の脳内設定では確定しています。
くぁー、切ねー。
どうも私は、亜子をそういう境遇にさせて切なくなるのが好きな性格のようです。
親父臭いというか、屈折しているというか……。

 盤のバンドの衣装は、オーバーニーソックスを穿いてたり穿いてなかったり……これこそ真の絶対領域チラリズムですな。
……といった冗談はさておいて、次回こそ多分きっと亜子編完結。
綺麗に纏めてくれることでしょう、楽しみにしています。
それと、くぎみんの出番も、楽しみにしています。


しずな先生の水着審査は?(ありません)

・亜子「え‥‥ で でも」・・・突然の出来事に戸惑う亜子。
・ネギ「いいから 閉じて」・・・今日のネギは一味違う。
・亜子「ハ‥‥ ハイ」・・・かわいい子や。
・ネギ「眠りの霧」・・・うわ、そう来たか。
・亜子「え‥‥ あ あれ? ゆ‥夢? また‥‥ 夢‥‥?」・・・もう何がなんだか。
・亜子「ハアァ〜〜ッ 夢かぁッ!! 夢で良かったわ―――っ ナギさんには大変な所見られるし ライブはすっぽかすし も〜〜 ホンマ悪夢やで あんなん」・・・リアルな夢だったと信じたい。
・亜子「「あなたに魔法をかけてさしあげます」やて ひゃああ―― んなアホな! アハハハハ」・・・妄想大爆発中。
・ネギ「それで亜子さん今日はライブでしたよね 時間まで僕とデートでもしませんか?」・・・誰だお前は(笑)
・亜子「え゛っ‥ ええっ!? なっ‥ カメラどこ!?」・・・さすが関西人、良い反応。
・ネギ「釘宮さんに聞いたんです 亜子さんが今日のライブで緊張してて大変だって それで今 偶然ここで寝ている亜子さんを見つけて声をかけたんですよ」・・・緊張してて大変な人は普通寝ない。
・亜子「夢や これは絶対夢や‥‥」・・・冷静に考える。
・亜子「アレもホンマに夢やったんかな めっちゃリアルやった気が‥‥」・・・あれもこれもごっちゃ。
・亜子「あああ? 何や頭ぐるぐるになってきた‥」・・・思考回路はショート寸前。
・亜子「お お待たせしました」・・・今すぐ会いたいよ。
・ネギ「ステキですね カワイイですその服♪」・・・いや、後ろで飛んでるジョナさん(仮)は色々おかしいだろw
・亜子「ダダ ダメなんです ウチ こーゆーのダメなんですー」・・・亜子は絶叫系が苦手、と( ..)φメモメモ
・ネギ「大丈夫」・・・なんて気障なw
・亜子「ううっ もう‥‥ 夢でもええ‥‥」・・・陥落。
・亜子「し‥死ぬかと思いました‥」・・・萌え死ぬかと。
・亜子「たとえ夢でも現実でも こんな幸せ‥‥ たっぷり味わっとかな損や!」・・・おお、ポジティブ。
・千雨「おーおー よくやるぜ 何であんな完璧紳士なんだあのガキ どっかで練習でもしたのか10歳のくせに」・・・好きこそものの上手なれ。
・小太郎「スゲーな アイツ‥」・・・徹底ぶりに呆れたヤツ。
・茶々丸「我々の手助けは必要なかったようですね」・・・録画に専念。
・茶々丸「やはり血でしょうか ‥英国紳士の?」・・・ナギの血ではないことは確かだと思う。
・千雨「知るか けどまあお前も見習っといたほうがいいかもな 女に会ったらまず褒めろ」・・・自分も褒められた人。
・小太郎「ハ! くだらん」・・・徹底硬派で、バカ。
・千雨「魔法はまあいいとして(え? いいのか私?)」・・・笑った。
・千雨「い、いやイカン なんとなくこのまま順応してしまいそうな自分がいる」・・・そんなもんです。
・亜子「キャアアア――――ッ 何コレ 何このお肉 いやあああ――ん」・・・お肉w
・はる樹「俺達ってカップルなん?」雪「し、知らないっ」・・・懐かしいキャラ来た。
・英子「何で私があんたと?」直哉「ス、スミマセン」・・・マホラ驚異の治癒力。
・亜子「ど どうしましょう ウ ウチ こーゆーのダメなんです ウチ 完全な脇役体質なんで 舞台上がったりダメなんです ナギさんにもきっと迷惑かけるし逃げ‥‥っ 逃げれへん‥ 夢やのに‥」・・・逃げちゃダメだ。
・ボディビル研「むん! ぬん!」・・・まさに外道!
・ネギ「‥‥‥ 大丈夫です亜子さん どうせ出るんなら優勝狙っちゃいましょうか 僕達2人で」・・・一人じゃないから。
・千雨「うぐっ‥10歳とゆー歳にごまかされてたが よく考えてみればウチのクラスで一番スペック高いのこいつじゃねーか!?」・・・今の千雨には敵わない。
・千雨&小太郎「な‥なんかむかつく‥‥」・・・素直に拍手してる茶々丸に注目。
・雪「ええっ」・・・水着か……ごくり。
・英子「ぬぬぬ 負けないわよっ!!」・・・結局乗り気。
・亜子「水着!? ど どうしよう 背中が見えたら」・・・深刻な問題。
・亜子「あ‥‥ 傷が――」・・・悪夢は繰り返されるのか。
・亜子「――!」・・・ハッピーエンドのフラグが立った。
・ネギ「僕達はこっちの水着にします」・・・多くを語らなくても、亜子には伝わる。
・千雨「ふむ」・・・正しい選択と認定。
・雪「バ、バカ‥」・・・水着に帽子がセットなあたりが、メガトン級の破壊力だと思う。
・英子「こっ 子供に負けっ‥」・・・姉の時代はもう少し先。
・亜子「ス スイマセン ウチのせいで負けちゃって‥」・・・まだ気にしてる。
・ネギ「‥‥自分のこと 脇役なんて言わないでください みんな‥‥主役なんですよ」・・・伝えたかったこと。
・亜子「‥‥ ハ‥‥ ハイ!!」・・・吹っ切れた、かな?
・ネギ「夜は肝試しとかあるらしいですよ 机 片付けますね」・・・アニメ版ラブラブキッス大作戦のことか―――!!
・ネギ「ちょっとは先生らしいことできたかな」・・・よくできました。
・亜子「ハッ‥‥ こ これは!? 廃校舎でナギさんと2人っきり!? こここ こんな夢のような‥ や やっぱりこれは夢!?」・・・乙女爆発中。
・亜子「せや‥‥ これがきっと 最初で最後のチャンスや‥ う‥‥ で でもやっぱり夢やったら‥? ううん た たとえ夢でも 最初の一歩を踏み出す勇気が重要なんちゃうやろか 一歩を踏み出して主役に‥‥ 主人公になるんや!!」・・・勇気の決断。
・亜子「あ あの 会ってまだあまり時間も経ってないのに こんなこと言うの‥‥変かもしれませんが‥ わ‥私 あの あ‥あなたのことが‥‥ す‥すっ‥」・・・わずかな勇気が、魔法にも勝る瞬間。


今週の巻末コメント(と、それに対するちょっとしたツッコミ)

――いまだに階段上りやってます(30階)。

・・・自分も毎日やってます(2階)

 頂ければ、管理人が喜びます

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