98時間目「立つんだ!ネギ!!」


あらすじ

 タカミチの”少し本気”の超居合い拳連打に防戦一方のネギ。

 苦し紛れに風花・風障壁を放ったところで大きな隙を作ってしまい、直撃をもらってしまう。

 満身創痍ながら再び立ち上がったネギは、秘策を胸に、タカミチに立ち向かっていく。

 魔法の射手に瞬動術をのせて突入するネギを、タカミチが止めることはできなかった。


評価

 ★★★☆


感想

 「根拠のない底力(根性とも言う)」とはこういうものなのか。
これがバトル漫画ですね。
ネギが劣勢から起死回生の体当たりを繰り出した場面では、素直に燃えました。
命を賭けた戦いではない武道会だからこそ決まった攻撃だという側面はあるものの(後述します)、未だ実力の開きが大きい相手(タカミチのことです)に主人公が一泡吹かせる場面を見られることは、読者にとって気持ちの良いものです。
強いて不都合を挙げるならば、面白かった熱かった燃えたばかりでは、感想を書きにくいということぐらいでしょうか(笑)

 で少し書いた、”武道会だからこそ決まった攻撃”というのは、リングアウトがあるからこそネギが魔法の射手を溜められる時間があったということで、実際問題それは戦いの中での機転に属しているのでマイナス評価にはなりえません。
手持ちの材料で前へ進むのは大事なことだとエヴァも言ってました。
最初に読んだ時には、どうしてタカミチはネギの突撃をかわせなかったのだろうと疑問に思ったものですが、そこにはネギの瞬動術による突進性(速さと重さ)と魔法の射手による誘導性と威力、それに加えて、ネギに『豪殺・居合い拳』は捌ききれまいと考えたタカミチの対応の遅れが介在していたと言えるでしょう。
展開に意表を突かれながらも何だかんだで納得できてしまうのは、一個の作品としてとても大事なことだと思います。

 はいえ、流れの中で納得できない点もありました。
和美がレフェリーストップをかけた場面がそうです。
彼女の行動は、レフェリーとしての立場とネギの生徒としての立場を混同したが故のものであり、また、多くの観客(と読者)が抱いた感情と根が同じものでもあります。
ですが、だからこそ、幾つかのコマを使ってまで彼女にその行動を起こさせる必要があったのかな?と考えてしまうのです。
理由はどうあれ、試合に水を差してしまっているのですし。
要は、「ちょっとクドかったんじゃないかな」ということです。

 れにしても、ネギに期待を寄せる人物の多いこと。
真名が彼の可能性に、タカミチがナギへの想いの強さに、千雨がかつてネギ自身によって示された根拠のないアドバイスの正しさに、それぞれ割と無責任に期待しています。
他の生徒たちの声援も含めれば、もっと多くなるでしょう。
それらをネギは背負うことなく立ち向かい続けます。
タカミチのセリフには多少反応していましたが、ネギが次の行動を起こすまでにコマが離れているのと、彼の思いがタカミチの問いかけに呼応していないという点から、意図的に反応したと(読者に)悟らせないようにしているようにも見えます。
直前までの真名vsクーフェ戦において、クーフェがネギの声援をきっかけに立ち直ったように見えたのとは対照的な演出で、面白いと思いました。
ネギはまだ他人の期待を背負えるほど強くはないが、期待に応えられるぐらいには強いんだなという微妙な立ち位置を理解できるという意味で、です。

 回の見所は、ネギがモロに居合い拳(強)を食らった様子を、チャチャゼロが喜んでいる場面……といきたいところですが、ちょっと違います。
それは、もはやこの戦いの裏テーマとなりつつある、戦うネギを見た千雨の認識の変化についてです。
すっかりファンタジーの世界に納得してしまっている他の観客者をよそに、あくまで冷静に一般人的なツッコミを続けていた彼女ですが、主にネギの真剣さを見るにつけて、次第にツッコミの役割を果たせなくなるばかりか、いつの間にかネギを本気で応援するようになってしまっているのです。
この戦いが終わった後、千雨がネギにどのような感情を抱くのかはまだわかりませんが、少なくとも、今までとは随分認識が変化していることでしょう。
どう変わっているのかが楽しみです。

 の方では和美について少し非難してしまいましたが、彼女の実況がいつの間にか「ネギ選手」から「ネギ君」に変わった場面は、(数コマだけど)とてもよかったと思います。
アスナが泣くほどネギのことを心配している場面も、対する相手がタカミチであることを考えると意義深いのではないでしょうか。
特に彼女の心境については、まだ納得できるような説明がなされていないので尚更です。
本当に納得できるような説明が必要なのかは、正直なところ微妙ですけどね。

 ギの突撃で勝負はついた…のか?
できればこの回で決着まで見たかったものですが。


今週の巻末コメント(と、それに対するちょっとしたツッコミ)

――生まれて初めて髪にカラーを入れました。(白髪が増えてきたんで)

・・・この漫画の作者がマガジン連載作家の中で最年長の部類に入っていることは、知らない人が多いんだろうなぁ。

97時間目  99時間目  ネギま!レビュー  トップページ

inserted by FC2 system