11時間目「バカレンジャーと秘密の図書館島〜期末テスト大作戦その5」



あらすじ

図書館島脱出の翌日。

テストは遅刻をしたものの、ネギが、リラックスできる魔法を使ったおかげもあって、無事に終えることができた。

結果発表では、1度はA組が最下位になってしまうものの、遅刻組の成績集計ミスが発覚し、一転して、1位の座に着くことが決定した。

かくしてネギは、麻帆良学園中等部の、そして2年A組の正式な教員になることが決定したのであった。


評価

★★★★


詳察

 バカレンジャー一行が図書館島を脱出した翌朝、テストはもうすぐ始まるというのに、彼女達は教室に現れない。
相当慌てるあやか。
そう、今回の期末テストで、2−Aが最下位から脱出しなければ、ネギはクビになり、正式な先生になることができないのだ。
と、言うわけで、必死なあやかは、出席しているクラスメートに、1人15点増しを要求する。
ちなみに、テストが5教科あるとして、出席している22人が全員総合点で15点上げれたとすると、22人の平均点を15点下げて、欠席した8人に回すと、その8人の平均点が8.25点、ということになります。
足りない、全然足りてないよあやか(笑)。
昔のバカレンジャーだけの実力ならいざ知らず、成績上位ののどかとこのか(ついでにハルナ)も含まれてるんだから、てんで足りていません。
あやかがいかに慌てているかがわかります。

 それでも何とか、土壇場でバカレンジャー一行は、そんなに遅れることなく、学校に駆けつけることができる。
あの脱出劇の後に徹夜で勉強するなんて、なかなか根性のある連中である。
で、結局、寝過ごしてしまったようだ。

 別教室で試験を受けることになったバカレンジャー一行。
が、3日間の探検とその後の徹夜のせいで、彼女達は試験に集中することができない。
そこで、魔法の封印が解けたネギは、彼女達に元気と活力を与える魔法を使う。
封印が解けて早速魔法を使ってしまったネギに、若干腑に落ちない点もあるが、このシーンは、なかなか印象に残る、絵になる場面である。

 ネギの魔法のおかげで、何とか持ち直した彼女達は、無事テストを終えることができる。
テストが終わった後の、アスナの昂ぶった表情は、ある程度手ごたえを感じていた証拠のようにも見える。
3日間の、ネギとバカレンジャーの成長を見届けていた学園長は、彼女達の答案の採点をすることにする。

 数日後、クラスごとの成績順位が発表される日がやってきた。
なんていやな学校なんだ(笑)。
それにしても、学年平均点が73.4点とは、なんとも高い点数である。
これだけ平均点が高いと、確かに2−Aみたいにずば抜けたおバカさんがいると、つらい競争になりますね。

 まあ、発表する側もする側だけど、自分らが受けたテストでトトカルチョをする生徒も生徒である(笑)。
ちなみに、クーフェこと古菲は、S−Bの鉄板に食券10枚である。
鉄板というのは、本命ガチガチの意味でしょう、おそらく。
我らがA組の単勝に食券50枚も賭けた桜子は、なかなかの勝負師です。

 次々と上位から順位が発表されるが、A組の名前は出てこない。
全26クラス(A〜Z)中(多っ!)、24位まで発表されても、A組の名前は、ない。
そして、ブービー賞の第25位にも、A組の名前が挙がることは、なかった。

 あまりにも残酷で現実的な結果を知ったネギは、静かに学校を抜け出し、一人、失意のうちに、帰国の途に着く。
いち早くアスナが追いつき、結果が出なかったことをネギに謝るが、ネギは、誰のせいでもなく、自分が未熟なせいだと、強がって見せる。
それでもアスナに引き止められて戸惑うネギだが、他の生徒が追いついてくると、合わせる顔がないといって、逃げ出す。
が、器用なまき絵のリボンに足を止められ、結局皆と顔を合わせてしまうのだ。

 ここで、学園長が登場。
実は学園長が採点した分、つまり、バカレンジャー一行の成績が、集計から漏れていたという事実が明かされる。
学園長から、次々と返却される試験の結果は、それまでのバカレンジャーとは比べ物にならないほど良くなっていた。
そして最後にアスナにテストが返却される。
アスナの平均点は、71点。
なんと、学年平均に迫る成績を取っていたのだった。
これによって、クラスの成績順位も、F組を0.1点差でかわし、堂々の1位に輝くことができたのです。
おそらく、例の花のトロフィーが進呈されたことでしょう。

 当然、ネギのクビはなくなり、そして、桜子は食券長者になった(笑)。
A組のオッズって、何倍だったんだろう。
少なく見積もって100倍(円が、「万馬券!?」と言っていた)だったとして、桜子は5000枚の食券を得たことになる。
5000枚の食券をどう使うかも迷うところではあるが、それ以上に、誰が払い戻しをするのか、非常に気になるところである。

さて、ここで気になる点。
遅刻組の成績集計前の平均点は、どれぐらいだったのか。
まず、ブービー賞の点数から、69.5点以下であることがわかる。
しかしこれは、22人分の点数を、30人分で集計してしまったからこうなっていたのであって、実際はもっと高いはずだ。
そこで、計算してみた。
すると、83.3点と、かなりの高得点だったことがわかる。
が、これが30人分で計算されていると、平均点が61.1点まで下がってしまい、確かにいつも通り、ぶっちぎりの最下位である。
計算の結果、今回のデータには整合性があったのですが、私は、計算する前まで整合性がないことをこっそり期待していたのはここだけの秘密にしておきます(笑)。

 それはさておき、人間は普段、脳の一部しか使っていません。
よって、その実力は、思い込みや暗示などで、大きく変化するものなのです。
魔法の書を持っているから解けていたかに思えるような問題も、実は彼女達の実力だったのです(中学レベル超えてたけど)。
テスト本番では、ネギをクビにしたくないという彼女の気持ちが、魔法の書の役割を果たしたのでしょう。

 結果が出た上に、これだけネギが慕われているとわかれば、学園長も、ネギのことを安心して教師に任ずることができるでしょう。

 今回は、予想された結末を、いかに魅せるか、ということがポイントだったと思う。
その点で、今回、その試みは成功していたと思う。
ただ、それでもこの長編の結末に五つ星を与えられないのは、ネギが、生徒のためとはいえ、封印が解けたすぐ後に、魔法を使ったからだ。
この点が腑に落ちないと言うか、共感できないところだったのである。
が、内容自体はすがすがしいものだったし、先に挙げた短所をカバーするほどに魅せてくれたので、4つ星ということにしました。

 次回からは、A組のクラスメートについて、1人ずつ掘り下げていくようだ。
これからがこの作品の本領になっていくと思うので、楽しみにしておきたい。

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